みなさんはチョコレートがどのような工程で作られるかご存知ですか?
実は、一番シンプルなチョコレートは「カカオ豆」と「砂糖」から作られます。
ただし、単にカカオと砂糖を混ぜるだけではできず、美味しいチョコレートができるには製造途中の化学変化も欠かせません。
ということで、今回はandewのショコラティエからチョコレートの製法の解説をしてもらいます。
チョコレートの作り方
チョコレートは以下の8つのステップで作られます。
①焙煎
原料となるカカオ豆は発酵・乾燥の後、表面に種皮がついた状態で輸入されます。
まず、種皮がついたままのカカオ豆をロースターに入れ、100~140℃で煎ります。
これは、カカオ豆の中の糖類、有機酸、アミノ酸、フェノール類などが加熱によって変化し、さまざまな香りの成分と味の旨みを作り出すために必要不可欠な工程です。
また焙煎すると皮が取れやすくなり、中も割れやすくなります。
焙煎は風味の大部分を作る大切な工程のひとつ。一般的に、メーカーは豆の特徴をよく分析して焙煎をしています。
ショコラティエより
ちなみに家庭ではフライパンやオーブンなどでも焙煎出来ます。(ただし火の通り具合の見極めや美味しい風味を引き出す練習が必要です…)焙煎前にカカオ豆を水洗いする、あるいは高温の水蒸気で殺菌する、また、先に豆を大きめに砕いて内皮を取り除いてから焙煎するニブローストという方法もありますが、先に説明した豆ロースト法が主流です。
②分離
カカオ豆の種皮はチョコレートに使わないため、分離する作業が必要です。
焙煎後のカカオ豆は、粗く砕いてバラバラにして風選機にかけることで軽くて薄い種皮だけが吹き飛ばされます。
こうして種皮が取り除かれたカカオ豆はカカオニブと呼ばれます。
ショコラティエより
家庭でやりたいときは手でひとつずつ種皮を剥いてください。無心になれます。笑
③摩砕
次に、種皮を取り除いたカカオニブをすりつぶしてペースト状にします。ペースト状のカカオニブはカカオマスと呼ばれます。
カカオニブは半分以上が油分なので、すりつぶすだけでかなりどろどろになります。
ショコラティエより
もちろん、一般家庭にすりつぶす専用の機械はないと思いますので、おうちではすり鉢で根気よくペースト状にしましょう!(最初だけ強めのフードプロセッサで砕く、などすると楽ですが、弱いものだと刃が折れるのでご注意ください。)
④微細化
複数のロールを組み合わせたレファイナーという機械で、引きちぎるようにしてカカオの粒子を細かくします。
ざらつきを感じない境界が20μmと言われているので、滑らかなチョコレートを作るにはこれより細かくします。ここでペースト状から粉状に変わります。
⑤精練
コンチェと呼ばれる機械でカカオマスをよく練ります。
練る力で粉状のチョコレートからカカオバターが滲み出して粘土状に、そして粒子がカカオバターに覆われてやわらかい生地になります。
このようにカカオマスを滑らかにする物理的変化に加えて、摩擦熱によって水分や酸・揮発性の高い香りを飛ばす化学的変化も同時に起こります。
さらに砂糖も加え、数日かけてこれらを練ります。メーカーによって練る時間や砂糖を入れるタイミングなどが変わり、そのブランドらしさが生まれます。
この5番目の工程は、舌触りと風味の変化の具合が理想的なバランスになるための非常に重要なステップです。
⑥調温
テンパリングとも言って、チョコレート中の油、カカオバターの結晶を整えるために結晶の融点付近に温度を下げて少し上げる工程です。
これをしないと表面がでこぼこして白くなるブルームが起こりやすくなり、舌触りや香りが落ちるので、美味しいチョコレートには必須の工程です。
チョコ作りのみならず、チョコを使ったお菓子作りでも、一度溶かして結晶がほどけたチョコレートを固める前はしっかり温度を測ってテンパリングをするようにしましょう。
⑦充填
チョコレートの型にテンパリング後のチョコレートを流し入れ、気泡を抜くように振動させます。
型はモールドと呼ばれていて、プラスチックやシリコン等で出来ているものが主流です。
⑧冷却
チョコレートを冷やし固めるときに、低い温度で急激に冷やすとカカオバターが融点の低い結晶になって室温でもすぐに溶けてしまうようなチョコレートになります。
そのためゆっくりと冷やすようにするほか、冷却途中で少し温度を上げて調節する工場もあります。
これが固まったら、型から外してチョコレートが完成します。
カカオからチョコレートへ
姿かたちの違うカカオ豆とチョコレート、その間でカカオ豆がどのような変化を辿っていたのか想像していただけましたか?
私たちが普段よく見ているのは、型の形に整えられたチョコレートばかり。
原料のカカオ豆にはどこか想像力を働かせにくいところもあります。
今回の話で、カカオ豆への親近感が少しでも上がりましたら嬉しいです!
実際に工場などでは立派な機械で作っていますが、カカオ豆(カカオニブからでも!)をネットかチョコレートショップの店舗で買ってきて、あとはすり鉢さえあればおうちでもチョコレート作りが体験できるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
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